しんがり 山一證券最後の12人

著:清武 英利

私の評価:☆☆☆☆☆☆

前から気になっていた本ですが、読んで良かったです。

同じ金融業者ということで親近感があったことも大きいですが、

小さなことから不正は起きて、

それが誰にも止められないほどに大きくなっていく様子は

身近なことのようにも思えて、恐怖すら覚えましたね。

本の主な内容は、自主廃業となってから後の清算業務や社内調査の様子、
それに取り組む社員たちの姿勢や葛藤について描かれています。

清算業務や事後の社内調査というのは、ひたすら後ろ向きな仕事です。

しんがり = 後軍

という意味が、切なさや淋しさなどの感情とともに、よく理解できます。

よく、マンガとかテレビドラマなどであるじゃないですか、

「後は俺に任せて先に行け!」

っていうアレです。

コレが「しんがり」です。

無給になってからも原因追及、綺麗事だけではできない仕事、

山一證券のしんがり12人が挑んだのはそういう仕事で、

サラリーマンとしてのプライドと、人としての器の大きさを感じました。

会社って簡単に潰れるんだなと、思わせられる本でもありました。

今や終身雇用の感覚は薄れてきているでしょうが、

それでも、自分が長年勤めてきた会社が急になくなるというのは、

なんとも言えない気持ちになるものですね。

いざそうなったときに慌てないために、

次に行ける準備は常にしておくべきで、

自分のやりたいことや自分の強みをしっかり認識しておくことが大事だな

と、そんなことを考えさせてくれる一冊でした。

しんがり [ 清武英利 ]
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